優しい学級委員長の、隠れた吸血溺愛衝動は。

「えー、これでも早く来てると思うんだけどなー。というか、和奏あたしたちのことなんて気にしなくていいんだよ? 和奏がしんどくなっちゃうよ、このままじゃ。」

 薫子ちゃんはそう言って、私の頭をよしよしと撫でてくる。

 その中には心配の影が落としてあって、薫子ちゃんの優しさが伝わってくる。

 ……けど私、無理はしてないよ。

「二人は委員長としていつも頑張ってるから、二人こそ私のことは気にしないでっ。私がただ勝手にやってるだけだから……あっ、迷惑だったらしないけどっ――」

「天使だわ、この子。」

「か、薫子ちゃん?」

 私の言うほどまとまっていない言葉を遮り、ぎゅーっと抱きしめてくる薫子ちゃん。

 な、何で抱きしめて? というよりも、天使って?

 うーんとまたもや考え込むも、やっぱり私の拙い頭じゃ何も分からないらしく。

「委員長たちやっぱりはやーい! おはよー。」

「はよー。……ふわ、ねむ。」

 直後に私の耳には複数人の挨拶が聞こえてきて、反射的に声を上げる。

「みんな、おはようっ!」