遂に、言ってしまった。

 この前まで気付かなかった……ううん、気付かないふりをしていた気持ちを。

 その事実が恥ずかしくなり、ふいっと視線を逸らしてしまう。

 うぅっ、自分の気持ちを伝えるのってこんなに勇気いる事なんだ……っ。

 でも私はきっと、最低な人だと思う。

 だって……光聖君が「大事」だって言ってくれたから、言えたんだから。

 光聖君がそう言わなければ、いつまで経っても言わなかったこの気持ち。

 策士だと思われても仕方がない。それくらい承知の上。

 だから、何を言われても文句は言えないわけで……。

「……反則、なんだけど。」

「っ、うむっ……。」

 静かに告げられたと思うと、瞬間奪われた唇。

 たったの一瞬、ほんの一瞬。

 それだけだったのに、私にはすぐにかぁぁっと熱が集まった。

「あ、あのっ……」

「貧血だからって、俺が和奏さんから何も貰わないって思ってる?」

「うぇ?」

「図々しいかもだけど、今日はもう限界だから。俺の気が済むまで、どろどろに甘やかしていい?」