優しい学級委員長の、隠れた吸血溺愛衝動は。

 その影には、少しの戸惑いが見えた。

 ……そして、その直後。

「っ……!」

 ガタッ――と、音を立てて和奏さんが椅子から降りて。

 いつの間にか、和奏さんとの距離が至近距離になっていた。

「いつから、気付いてたの……?」

「少し前だよ、貧血でしょ。」

「……どうして、分かったの。」

「和奏さんの血のフェロモンから、って言ったらいいかな。ヴァンパイアだからそういうの、すぐ分かっちゃうんだよね。」

 和奏さんからの質問に、平常心を保ちながら答えていく。

 その間和奏さんは物凄く真剣で、どこか緊張しているようで。

「ごめん、なさいっ……。」

 どこまでも、悲哀に満ちた瞳を見せていた。

「どういう事。どうして和奏さんが謝るの。」

 謝られた意味が分からず、冷静に問いかける。

 すると間髪入れずにこんな、さも当たり前だという言葉が返ってくる。

「だって私っ、光聖君に血をあげなきゃならないのにこんな、貧血になって血をあげられないかもって思って……っ、だから、ごめんなさい……。」