和奏さんって最初は、頼りがいのある女の子だと思っていた。

 誰にでも優しくでき、何でも引き受けるボランティア精神の持ち主。

 実際、俺の手伝いもしてくれているし間違いではない。

 ……だけど、俺が和奏さんの血に勘づいたのは、和奏さんに恋をした一週間後だった。

 聖人のような彼女に、どうして恋をしないでいられるのか。

 愛嬌があり可愛く、いじらしくておまけに性格も良く……素敵な女性としか思えない。

 告白なんてする予定はなかったけど、和奏さんに吸血をしている今いずれするだろう。

 和奏さんの血は、ヴァンパイアという類の俺たちを惹きつける。

 それはどのヴァンパイアも抗えないもので、無条件に。

 でも、びっくりしたな。

 和奏さんの妹さんは同じ特殊な血を持っていて、弟君のほうはヴァンパイアだなんて。

 少し会っただけだけど、同族の匂いならすぐ分かる。

 俺の場合は父親のほうがヴァンパイアの血を継いでいるから、俺も半分はヴァンパイア。

 けど……和奏さんたちは、俺みたいな単純な血筋ではないらしい。