優しい学級委員長の、隠れた吸血溺愛衝動は。

 理由は分からない。見当もつかない。

 それでもどうしてか……悲しくて、涙が溢れ出てきて。

「……ううん、もう大丈夫。」

 だなんて、笑えなかった。

「大丈夫じゃないでしょ……何でそんな苦しそうな顔で、大丈夫で通ると思ったの?」

「分かんない、の。なんだか、嫌な気持ちになっただけで……」

「どうして嫌な気持ちになったの?」

「……光聖君に、他の子が居たのかなって思っただけ。」

「他の子……?」

 ただそれだけなのに、嫌で仕方なくて。

 それでも、ここまで来たのに認めたくなくて。

 ここまで分かってるのに、認めてしまうのが怖くて。

「今までの吸血って、どうしてたの……?」

「今までは血液と同じ成分をした栄養剤を飲んでたよ。それがどうしたの?」

 不思議だと言わんばかりの表情で尋ねてくる光聖君は、どこかかっこよく見えて。

 私っていつから、こんなわがままになったんだろうって……。

 いつからここまで、嫉妬しちゃうようになったんだろうって……。

 ……光聖君に私以外が居なかったって事実だけで、嬉しくなってしまう。