優しい学級委員長の、隠れた吸血溺愛衝動は。

 初めて吸血された時とはまた違った、心臓の高鳴り。

 今でも理由が分からず、戸惑いを隠せない。

 けど、こんな事で光聖君の時間を割くわけにはいかない為。

「……立てるよ、牙。」

「っ……。」

 そんな邪念を振り払い、光聖君に血を与えた。

 いつまで経っても、この感覚には慣れない。

 まぁ、まだ三回程度だから慣れなくても当然なんだろうけど……吸血を重ねる度に、ドキドキが増していっている気がする。

「んっ……。」

 やっぱり声は出てしまうもので、そんな自分に恥ずかしさが込み上げてくる。

 ……でも、不意に思ったんだ。

 光聖君って、私が血をあげる前にはどうしていたんだろう……と。

 私が血を提供し始めたのは、つい最近。以前に誰か、光聖君に血をあげる役割の人が居てもおかしくないなって思った。

 そして……どうしてだろう。

「……どうしたの、和奏さん。もしかして、痛かった?」

「ちがっ……私も、分かんないっ……。」

 ……そう考えると、胸が苦しい。

 悲しくて苦しくて、嫌で嫌で……涙が止まらなくなってくる。