優しい学級委員長の、隠れた吸血溺愛衝動は。

「今日はもう仕方がないよ。隣のクラスのお友達にでも借りてみたらどうかな?」

《おぉっ! さっすがお姉ちゃんっ、あったまいい~!》

「あはは……とにかく、学校まで気を付けていくんだよ?」

《ふふ、はーい!》

 私はそんな桂月との会話を終え、今度はスマホを落としかけないように慎重にしまう。

 桂月って頭は良いはずなんだけど、時々抜けてるところがあるからなぁ……。

 でもそこも可愛いんだよねっ。弟の飛月(ひづき)も可愛いけど。

 ふふっと笑みを零しながら、私は少し軽くなった足取りで学校へと向かった。

 桂月に言ったように、交通安全に気を付けながら。



「おはようございまーす……。」

 いつもより早く来てしまった教室は、いつもよりはシーンと静かで。

 早朝の学校ってどうしてこんなにも不思議な感覚になるんだろう……なんていう考えを抱きながら、自分の机の引き出しに必要なものを入れていく。

 あっ、電気付けるの忘れてたっ……。

 途中でその事に気付いた私は、スクールバッグを急いでロッカーに片付けて電気を付けに行く。