優しい学級委員長の、隠れた吸血溺愛衝動は。

 どこにこんな力が……と思ってしまう。

 桂月は卓球部に入ってるから、力が強いんだろうけど……我が妹ながら恐ろしい。

 私はふっと考えながら、未だ引っ張ってくる桂月についていくので精一杯だった。

「……あいつも、ヴァンパイアか。」

 だから、飛月のそんな独り言に気付く事はなかった。



 そんな出来事があってからというもの、私の日常は一変した。

 光聖君に三日に一回は血をあげる生活は、ちょっぴり緊張する。

「和奏さん……そういえば気になってたんだけど、あの彼女はどうなったの? お姉ちゃんって言ってたから、和奏さんの妹さんだと思うんだけど……」

「えっとね……なかなかに大変だったけど、なんとか宥める事はできたよ。」

 桂月の事があってちょうど一週間が経った頃、おずおずと言った様子で光聖君が尋ねてくる。

 どうして今頃聞いてくるんだろう?と一時思ったけど、話しても全然差し支えない内容だったからそのまま話す。

 大変……と言うよりかは、宥めるほうの負担が大きかったけど。

『あの男が友達だとしても、お姉ちゃんのことが心配だから仲良くしてほしくないー!』