優しい学級委員長の、隠れた吸血溺愛衝動は。

 その中でふっと、こんな事を考えてしまった。

 光聖君は優しいから、こういう事もすっと言えるんだろう。

 ……他の人にも、そう言ってるのかな。『可愛い。』って……。

 ――ズキッ

 え……? 何、今の?

 心臓の辺りが、一瞬痛む。

 それは本当に一瞬だったから確認する暇もなかったけど、異様に心に焼き付く。

 なんだか、嫌だな。

 どうして今、そう考えて思ったのかは分からない。

 こんな事、思った事なんてなかったはずなのに……。

 光聖君と同じクラスになってから日は経ってるけど、ここまでの関係になると思ってなかったからかな。

 それともまた、別の理由?

 そうやって一人、うーんと首を傾げながら悩む。

 その時前方から、ひどく驚いたような声が轟いた。

「おねぇちゃぁぁぁん!?!?」

「へっ? ……って、わぁっ!?」

 辺り一帯に響いたであろう声に、反射的に耳を塞ぎそうになる。

 けれどそれをする前に人影がこっちに向かって来ていて、受け止めようとしたら呆気なく身動きが取れなくなった。