「うぅ……でも、恥ずかしいよこれ。」

 どうして、手を繋ぐ必要が……しかも、恋人繋ぎで……。

 帰り道。ヴァンパイアに襲われてはダメだからと、光聖君がお家まで送ってくれる事に。

 でもまさか手を繋ぐ事になるとは思っていなくて、未だ状況が飲み込めない。

 光聖君の気持ちはすっごくありがたいし、心強い。

 けど……そんなに警戒しなくても、大丈夫だと思う。

 今までヴァンパイアと遭遇した事がないし、危険な目に遭った事もない。

 光聖君って慎重なのかな……ううん、用心深いって言ったほうがいいかもしれない。

 光聖君と視線が合わせられなくて、ふいっとそっぽを向く。

「ほんと和奏さんって初心だよね。可愛いのに、恋人とか居た事ないの?」

「う……ないよ。それと、可愛くないよ私は。」

 変な光聖君。私が可愛いとか、そんなわけないのに……。

 でも……結構さらっと受け流しちゃったけど、内心は心臓バクバク。

 男の子に可愛いなんて、今まで言われた事なかったから……っ。

 例えお世辞だとしても、恥ずかしいのに越した事はない。