まさか……こんなに非現実的な事が実際に起こるなんて。

 お昼休憩後の授業中、私はずっとその事ばかり考えていた。

 未だに信じられない、なんて言ったら光聖君に失礼かもしれない。

 目の当たりにしたものもあるし、あんなに真剣な瞳だと本当なんだと分かる。

 それでもどうしても……そんな事起こるんだろうかって、思ってしまう。

 さっき、光聖君に付けられた吸血の跡をカッターシャツの上からなぞってみる。

 吸血っていうくらいだから結構深く付けられるのかって思っていたけど、実際はそういうわけではないらしい。

 その跡も、すぐに治りそうなものだったから。

 ……だけど、光聖君がヴァンパイアだって言われたら納得する部分もある。

 光聖君は日光が苦手らしく、外の体育の授業は休憩を多くとっていた。

 それにここ最近は血色があまり良くないみたいだったし……ヴァンパイアだとしても、なんら不思議じゃない。

 まぁ、こんなに近しい人が……とは思っちゃうけど。あはは……。

 授業は聞かなきゃならないけど、お昼休憩の事が頭から離れない。