突然の事であからさまにびっくりしてしまい、一瞬反応が遅れる。

 おぼつかない手でポケットの中のスマホを取り出そうと、少し急ぐ。

 けれどその時、するっと手からスマホが滑り落ちた。

「……し、心臓止まるかと思ったぁ……はぁ。」

 でも間一髪のところで立て直し、未だ鳴り続けているスマホに応答する。

「もしも――」

《お姉ちゃん! どーしようっ、私教科書家に忘れちゃった!》

「昨日確認、しなかったの?」

《私がすると思うの? しないよ。》

「……そこは堂々と言うべきところじゃないと思うんだけど。」

 双子の兄妹の妹のほう……桂月(かづき)からそんな事を電話越しに言われ、思わず立ち止まってしまう。

 桂月が通っている学校は電車を使っていかなければならないところにあるから、今から取りに戻ったら電車に遅れてしまう。

 かといって私が行ったとしても、桂月の乗る電車には到底間に合いそうもない。

 桂月は大雑把だからなぁ……。

 私は心の中で自分の妹のそんなところも可愛いと思いながら、対処法を伝えた。