優しい学級委員長の、隠れた吸血溺愛衝動は。

「ひゃ、ぅ……っ。」

 小さく囁くような声でそう言うと、さっき吸血したところを親指でなぞる。

 まだ完全に体に力が入っておらず、思ってもみない事だったから変な声が洩れ出てしまった。

 というか……どういう、事なの? 私が、光聖君みたいな人を惹きつける……って。

 そんな疑問のほうが勝って、尋ねかけて口を開く。

 でもその前に、私の様子を見た光聖君が説明してくれた。

「急にこんな事言われても困るよね。……簡単に説明するから、ちゃんと聞いててほしい。多分、和奏さんのこれからの生活にも関わってくると思うし。」

「わ、分かったっ……!」

「それじゃ、早めに説明していくね。もうそろそろ昼休憩も終わるから。」

「は、はいっ……。」

 確かに、もう時間になっちゃう。

 光聖君も軽く時計を流し見て、それから分かりやすい言葉で始めた。

「まず、和奏さんは俺みたいなヴァンパイアを惹きつけてしまう血の特性の持ち主なんだ。」

「えっ……そうだったのっ?」

「らしいね。なんとなく前々から、和奏さんから甘いフェロモンが漂ってたんだよね。それで、もしかしたらと思って確認してみたら……当たりだった、ってわけ。」