優しい学級委員長の、隠れた吸血溺愛衝動は。

 こういう時、ちゃんと断れる人が羨ましい。

 ……どうしてこんな、優柔不断な性格なんだろう。

 そんな自分に嫌気が差してしまうも、光聖君が死んじゃったら嫌だ。

 私の血で、光聖君が元気になるのなら……いい、のかな。

 私はヴァンパイアじゃないから、光聖君の気持ちは分からない。

 でも、人助けができるのなら。

「……分か、ったよ。いい、よ……?」

 結果的には折れてしまったけど、これで良いのかもしれない。

 だって、ここで私が拒否して本当に光聖君が死んじゃったらそれこそダメ。

 私が諦めて白旗を振ると、光聖君はふわりと優しい笑みを浮かべた。

「ありがとう、和奏さん。」

 その瞬間、光聖君の口の中に小さな牙みたいなものが見えた。

 だから光聖君が言っている事は、やっぱり本当なのかなと思ってしまった。

 けれど自分が何をすればいいか分からず、慌てふためいてしまう。

 そういえば、血を吸うってどんな感じでっ……?

 それが全く見当つかなくて、光聖君に尋ねてみる。

「光聖君……私、どうすればいいの?」