……信じろって言われても、なかなか信じられるものじゃないけど。

 うーん……何とも言えない気持ちだ……。

 どう返せばいいか分からない感情が浮かんできて、うむむと唸ってしまう。

 けれどその時、光聖君がおもむろに口角を上げた。

 ……とっても、意味深な様子で。

「“ほとんど”はね、人間と一緒なんだけど……やっぱりヴァンパイアだから、本能には逆らえないんだよね。」

「えっ……んひゃっ……。」

 ゆっくり距離を詰められ、耳元で話しかけられる。

 待って、私耳とか無理なのに……っ。

 それすらも言えず、ただ光聖君のお話を聞くしかできない。

「さっき和奏さんの血、舐めてみたんだけど……ちょっと確かめたい事があってね。」

 そう言いながら、カッターシャツに手をかけようとしてきた光聖君。

 ちょ、ちょっと待ってっ……!

 なんだか嫌な予感がした私は、急いでぐっと光聖君の胸板を押した。

「こ、光聖君っ、な、何をしようとしてるのっ……?」

「何……って、確かめたい事があるって言ったよね? だから少しだけ、和奏さんの血を貰おうと思って。」