優しい学級委員長の、隠れた吸血溺愛衝動は。

「光聖君、後は私がするから教室に戻ってて。片付けてくれたの、ありがとうっ。」

 先生が居なければ何をすればいいか分からないけど、放送室の整頓をしよう。

 それくらいなら私一人でも十分だし、光聖君を煩わせるわけにもいかない。

 元々、私の仕事だったし……。

「……和奏さん、俺も手伝っていい? 放送室の片付け。」

 だけど光聖君は、何故かそんなお願いをしてきた。

「えっ、そんなの悪いよっ! 光聖君のせっかくの休み時間を取っちゃう事になるし、全然私だけで終われるよ?」

 光聖君の気持ちは嬉しいけど、流石にお願いするわけにはいかない。

 光聖君も忙しいだろうし、せっかくのお昼休憩がなくなってしまう。

 それはダメっ! 自分の事なんだから、光聖君に頼るわけには……。

「……ダメ、かな? 俺のことは気にしなくていいし、むしろ暇だから。」

「で、でも……」

「ね、お願い。」

「うぬ……。」

 ここまで光聖君が、私を手伝おうとしてくれているのかが不思議で仕方ない。

 本当は、お願いしちゃダメ。もしかしたら、光聖君には光聖君の用事があるかもしれないのに。