「なんだって?
 誰だ?

 同期の男か。
 時也かっ」

「ああ、いえ。
 みんなで呑んだあと、呑み屋街を歩いてたら、マグロのようにたくさん、サラリーマンの方が道端に酔って寝てらして」

 そんなしょうもない話か、という顔をする耀に言った。

「そういえば、課長、今日は酔ってらっしゃいませんね」

「呑んでないからだ」

 披露宴も二次会も、と言う。

 そういえば、披露宴でも注がれた酒、ほとんど、足元に用意されてたバケツに捨ててたな、と気づく。

 もったいないので、そのまま呑みたいと思ってしまったのだが……。

 そんなことを考えている和香の前で、ちょっと照れたように耀が言う。

「……せっかくの結婚第一日目なのに、酔って記憶がないのはどうかなと思って」