不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 


 よく晴れた日曜日。

 白い布袋を手に耀は図書館に行こうとしていた。

 和香はもういない。

 だが、自分の頭の中にある未来は、もう和香と年をとっていく未来で確定していたので。

 和香がいなくなっても、あのとき思い描いていた未来をひとりで生きていこうと思っていた。

 日曜日には、ひとり、白い布袋を手に図書館に向かい、少し散歩をして、岩城のケーキを買い、珈琲を淹れて飲む。

 職場では、最近、ちょっと言動が和香化していると言われるのが問題だが。

 まあ、クビになるほど、ビックリなことをしてしまうわけではないので、ちゃんと定年まで働けて、ここのローンは返せるだろう。

 和香が二度と訪ねてこないとしても、あいつの愛したこの家は守りたいから、と思いながら、扉を開けたとき、目の前に和香が立っていた。