不埒な上司と一夜で恋は生まれません

「我々もここらが潮時ではないかね。

 ……私は和香くんが藤村くんの娘だと知って雇った。

 彼には申し訳ないことをしたから。

 復讐されても仕方がないと思っていた」

 それでも雇ってくれたのか、と和香は少ししんみりする。

「和香くんは、藤村くんに似て、ちょっと融通が利かなさそうだが。

 藤村くんに似て、頭の回転が速く、発想が普通じゃない感じで、会社に貢献してくれそうだったしね」

 そう和香に言い、専務は微笑んだ。

 そんな専務の額はよく見ると、赤くなっている。

 羽積さんがなにか攻撃を?
と思ったが、公安が攻撃して、そんなデコピンまがいのことで済むわけはない。

 それに気づいた専務は、はは、と力なく笑い、額に手をやり言った。

「羽積くんだっけ?

 彼が来たとき、驚いて、足がもつれたんだよ。
 もう歳だから」