不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 羽積の声が大きな会議室に響いた。

「No.7。
 伝説の電卓の達人、石崎和香」

 ……電卓が飛んでくるのだろうか、という顔で、時也が身構える。

 いや、経理上のごまかしを見逃さないだけなのだが。

「お前の姉は算盤(そろばん)の達人だったな」

 算盤も飛んでくるのだろうか、と美那も身構える。

「こいつら、叩けば埃は出る。
 俺が闇に葬るから。

 お前は幸せになれ、和香」

「森くん」
と観念したように、専務は常務に呼びかけた。

「石崎くんは、藤村くんの娘だよ」

 えっ、と常務が専務を見る。