不埒な上司と一夜で恋は生まれません

「やめてください、羽積さん。
 あなたにそんな指令は出ていないはずです。

 本来の仕事に戻ってください」

 そう言いながら、和香は、ぎょっとした。

 近くの長机の下に時也と美那がしゃがんでいたからだ。

 美那の手には長机の上に配ろうとしたらしき書類があり。

 時也の足元にはお茶のペットボトルのつまったダンボールがあった。

「……早起き、三文の徳じゃない」
と青ざめた美那が呟いている。

 確かに、いつもギリギリにやってくる美那が普段通りに働いていたら、今、ここにはいなかったことだろう。