おはようございます~と下で普通に挨拶し、社内に入った和香たちだったが。
いつものように自分の部署には行かずに、役員室のあるフロアに上がってみる。
だが、そこには通常の朝の風景が広がっていた。
それでも、耀は油断せずに、側を通った女子社員に聞いていた。
「専務は今、どちらに?」
「あ、そういえば、まだお見かけしてません。
いつもお早いのに珍しいですね」
彼女が通り過ぎたあと、耀が呟く。
「ここに来る前にすでになにか……?」
和香はあまり人気のない静かなフロアを見回しながら言った。
「でも、常務と専務と一気に片をつけようと思ったら、二人そろってる社内がいいような気もするんですが。
……そういえば、この上の会議室のフロア、この時間なら、まだ人もいないのでは?
私なら、誰かに邪魔されずに、なにかするときは、あそこを選びますね」



