不埒な上司と一夜で恋は生まれません

「専務たちは、敢えて自分達が泥を被って、うちの父を追い出したのだったのかも。

 まあ……自分の出世に邪魔だった、が一番大きいとは思いますけど。

 でも、私たちに、悪いと思う気持ちはあったんでしょうね」

 和香は羽積にスマホを見せる。

「スマホのエアドロップ、連絡先のみにしたら、外に知ってる人がいたんです。

 父の古い友人だと名乗る人で。

 時折、困ったときに相談にのってくれてたメールアドレスの人です。

 お会いしたことはなかったんですが……。

 でも、このメールアドレスがスマホに表示されたとき、近くを歩いていたのは、お孫さんの手を引いた専務だったんですよ」

 私はもう、なにが真実なのか、わからなくなりました、と和香は言う。