不埒な上司と一夜で恋は生まれません

「それにしても、証明写真をつけた履歴書など提出してしまうと。
 『課長の花嫁』って求人に応募したみたいに思えて。

 ちょっと照れてしまうのですが……」

「……何処で募集してるんだ、その『課長の花嫁』」

 和香は小首をかしげたあとで、
「ハローワークですかね?」
と言う。

「嫌だろ。
 そんなところで募集するやつも応募してくるやつも」

「いやいやいや、わからないじゃないですか。

 ときどき、普通にハローワークに行って、すごい職に出会ったって人いますから。

 そういうのもあるかもしれませんよ。

 今度見に行ってみませんか?」

「行って、『社長の嫁、募集』とかあったらどうするんだ。
 そっちに行くのか」
と横目に見ながら訊いたが、和香は、ははは、と笑ったあとで、

「そもそも、私は誰の嫁にもなりませんよ」
とまとめた。

 ……いや、俺の嫁にはっ!?
と振り向いたが、和香はスマホを手に呟く。