今日も帰ってこないな。 その日の夜、羽積は缶ビールを手に、アパートの外廊下から月を眺めていた。 灯りのつかない和香の部屋の小さな窓を振り返りながら、 ……まあ、あの男に夢中になって、復讐を忘れてくれるならそれもいいか、と思う。 羽積の頭の中では、和香は耀とラブラブな夜を過ごしていたが。 実際には、和香は、 「薪がないのなら、せめて、風呂場のすのこの上で寝ますっ」 とよくわからないことを言って、相変わらず、耀を困らせていた。 羽積は和香のために持っていたもう一本の缶を見た。