不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 薪の上に寝て父の仇討ちを忘れないようにする生活とは真逆だっ。

 そう思いながらも、和香は震える手でケーキの箱に手を伸ばす。

「ふ、ふたつ、食べてもいいですか?」

「全部食べてもいいと言ったろう」

 本をめくっていた手を止め、こちらを見て耀が言う。

「あ、ありがとうございます。
 せめて、今夜から薪を用意して、その上で寝ることにします」
と宣言して、

「いや、お前が薪の上に寝るのなら、俺も寝ることになるからやめてくれ……」
と言われてしまった。