不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 


 次の日はおやすみだった。

 和香は、ここにいたら、ダメ人間になるなあ、と思いながら、耀が入れてくれたコーヒーを手にリビングで、ぼんやりしていた。

 すると、ちょうどスマホを見ながら、窓際を歩いていた耀が、む、という顔をする。

「この近くに専務がいる」

「えっ?
 なんでわかるんです?」
と和香が身を乗り出すと、耀はスマホを見つめて言う。

「専務が、ここを通っているっ。

 今、可愛いお前の写真が撮れたんで。
 エアドロップで、お前にお前の写真を送ろうとしたら、専務のプライベートなメールアドレスが表示されたんだっ」

 ……いや、私に私の写真送ってどうするんですか。

 そして、専務のプライベートのメールアドレスとかもご存知なんですね。

 もしや、課長は専務の腹心だとか?

 敵なのだろうか、課長。

 課長の寝首、今なら簡単にかけるんですが……と、かく予定はないが思ったとき、耀が悲鳴を上げた。

「専務は表示されるが、お前のスマホは表示されないぞっ。
 和香っ、俺を拒んでいるのかっ」