不埒な上司と一夜で恋は生まれません

「私、駄目な人間になったなって思うんです。

 あれだけ胸に刻みつけていたものは何処に行ったんでしょう?

 あのときは、明日にも復讐したいと思っていたのに。

 今は――

 その瞬間を先延ばしにして、ここにいたい、自分がいます」

「……いればいいだろ、ここに」

 耀を振り向くと、やはり、彼は瞬きもせず、自分を見つめていた。

 目を離したら、消えてしまうんじゃないかと思っているような顔で――。