不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 


「お前に――

 石崎和香という人間に恋をしたんだと」

 そう言われた和香は、胸が、ぎゅうっとなっていた。

 あまり今まで感じたことがない、ぎゅうっとだ。

 一家離散したときの、胃の底がぎゅうっとなる感じとは全然違う。

 私、今、どうしたらいいんだろう?

 今まで誰も、そんなことは教えてくれなかった。

 自分がいた国の組織や、他の国の機関の構成や運用を学びに行っていたFBIで教えてもらったことを応用するなら。

 いきなり、手をつかまれて振りほどけなくなったら――