不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 その間、耀の頭の中は暴走していた。

「無職になったら、山で暮らすか。
 うち所有の無人島で暮らすか。

 そうだ。
 実家の屋敷の隅にある離れでひっそり暮らすのもいいな。

 実家に頼るつもりはなかったが、いずれ自分が継ぐものではあるし。

 おかしなプライドは捨てよう。
 お前のためだ。

 あそこなら、人工の川も滝も、粉をひける水車もある。
 木を他に移植し、銅像を退けて、庭園を崩したら、畑も作れる。

 貧しいなりに、自給自足の生活をしよう」

「……あの、そのなんか凄そうな庭の木とか銅像とかを売り払ったら、そこそこ悠々自適に暮らせるのでは」

 お金持ちの発想、ワカラナイ、と手を握られながら、和香は思っていた。