不埒な上司と一夜で恋は生まれません

「元公務員って、FBIの話か」

「いえ、FBIは研修で行ってただけです。
 日本にも極秘で国が作っているちょっとした機関があったんですよ。

 一家離散したあと、私も姉もそこに属してたんですけど。

 でも、資金繰りとか上手くいかなくて、お役所仕事なんで、あっさりなくなっちゃいました」

 ある程度、予想はしていたが、いざお前の口からそんなこと言われると、受け止め切れないっ、
と耀の顔に書いてあるような気がした。

「まあそれで、我々は職を失い、普通に就職活動をして、今、ここにいるわけなんですけど。

 そこで得た知識を悪用したりしないか、公安にしばらく見張られてたみたいなんです。

 姉はその間もおとなしく過ごし、もう普通の人間になろうとしていました。

 私は最初から、そこで得た力を使い、専務たちを失脚させるつもりだったんですけどね」