不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 和香はまっすぐ耀を見る。

「……阿呆か。
 また手が乾燥してるんだろう」

 耀が自分の手をとろうと、手を差し出してきたので、和香は後退する。

 また、はあーって手に息を吹きかけられてしまうっ。

 もっと恋に落ちるからやめてくださいっ。

「……なに逃げてんだ」

「大丈夫ですっ。
 課長が帰ってらしたんですから、課長が開けてくださいっ。

 大丈夫ですっ」
となにが大丈夫なのかわからないが、そう繰り返す。