不埒な上司と一夜で恋は生まれません

「いえ。

 でも、例えば、私が羽積さんを好きになっても、それが本当の羽積さんかはわからないですよね?

 でもそれ、私も同じだなって思うんです」

 耳は階段を上ってくる足音を聞いていた。

 そのリズムから、耀のものだとわかる。

 もしかして、迎えに来てくれたのだろうかと思ったが、言葉は止まらなかった。