不埒な上司と一夜で恋は生まれません




 次の日の朝、和香が出勤しようと外に出ると、羽積が立っていた。

「おはよう」

「なにしてるんですか?」

「昨日、また猫が逃げたので、届けてきた」

 そうですか、と和香は笑ったあとで思う。

 だから、それでなんで、今、ここに立ってたんですか、と。

「また逃げてきてはいけないから見張ってる……という口実のもと。
 お前が出てくるのを待っていた」

 そこまでしゃべるのなら、口実作る必要ありませんよ、と和香は思ったが。

「……俺自身への口実だ」
と羽積は言う。