不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 そんな話をしながら歩いているうちに、松林の向こうにお店らしき建物が見えてきた。

 洒落た和風の建物だ。

 冬なので、あっという間に日が落ち、暗くなった松林の中に、筆で店名の書かれた大きな提灯が浮かび上がって見える。

「こんなところにお店があるなんて……。
 注文の多い料理店でしょうか」

「ここ、海だぞ。
 っていうか、これ、蕎麦屋だろ」

 耀は松葉庵と書かれたその灯りを見ながら、そちらに向かい歩き出した。