不埒な上司と一夜で恋は生まれません

「じゃあ、そこの自販機でなにか温かいものでもおごってくれ」

 自販機では大しておごり返したことになりませんが……、
と思ったが、海に屋台が出ているわけでもなく、他になにもないので。

 とりあえず、すぐ近くの釣具店の横にある自動販売機へと向かった。

「なにがいいですか?
 コーンスープとか、おしることか、甘酒とか?」

「……普通に温かい珈琲でいい」

 わかりましたっ、と言いながら、和香は可愛いが開きにくい財布を開けてゴソゴソやる。

 五百円玉をつかんだあとで、
「あっ、これはありがたい小銭だったっ」
と叫ぶ。

「すみません。
 ちょっとお待ちくださいっ。

 百円玉を……。
 ああっ、これもありがたい小銭ではないですかっ」

「待て。
 なんだ、ありがたい小銭って」