不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 そのあとも、野菜カッターは、野菜を切る以外になにか使えないだろうかとか。

 町中華はあるのに、村中華はないのかとか。

 和香のしょうもない話を母親は楽しげに聞いていた。

 珍しい小動物でも見るかのような目で。

 ……もしや、俺もこんな目で和香を見ているのだろうかと耀は不安に思ったが。

 耀の和香を見る目はもっと愛にあふれていた。

 自分ではまったく気づいてはいなかったのだが……。

 それにしても、母はこんな話を喜ぶ人だったのか、と耀が新鮮な気持ちで眺めていると、

「ほんとうに楽しいわ。
 和香さんといると、この世の憂さを忘れそうね」
とまで母親は言い出した。