不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 


 でも、俺と和香は、そんなに上手くいってはいない、と耀は思っていた。

 ……何故か、俺より俺の母親との方が上手くいっているようなんだが……。

 今日も和香は母の誘いにひょいひょい乗って、自宅に来、母自慢のシェフが作った料理を満喫し。

 上機嫌で、ホラ話をしている。

「それで、姉に言われたんですよ」

 ……例の姉か、とソファで珈琲を飲みながら、耀は横目に和香を見る。

「『暑かったら、首を振れ』って。
 で、そのあとすぐに言われました。

『……あんたのじゃないよ』

 どうやら、扇風機のことだったらしいんですよね~」

 あはははは、と豪快に和香は笑った。

 ……そこで、あんたのじゃないよと言われたってことは、首を振れと言われて、自分の首を振ってたんだな。