不埒な上司と一夜で恋は生まれません

「写真ですか?
 ああ、ありますよ」

「ありますよ?」
と時也が訊き返している。

「はい」
と和香は財布の中から証明写真を出してきた。

 時也も自分といっしょに小さなそれを覗き込む。

「よく撮れてるね」

 でしょう? と和香は勝ち誇ったように言った。

「それ、ここ本当にやってるのかな? って感じの古い写真屋のおじいさんに撮ってもらったんですが。

 証明写真とは思えない、いい出来栄えだったんで持ち歩いてるんです。

 で、それ、なんでいるんですか?」

 社報ですか? と問われる。