不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 耀は古いタオルを手に、ふう、と溜息をつく。

 だが、よく使い込まれたそのタオルに和香の気配を感じた。

 元は可愛らしいピンク色だったのだろう、ちょっぴり変色したタオルは和香とともに、半世紀歩んできたのかもしれない、
と耀は想像をたくましくする。

「……いや、私、まだ半世紀生きてないんで」
と和香には突っ込まれそうだったが。

 ともかく、通常のタオルよりは、長く和香を見守っていた感じのタオルだった。

 そこに羽積が帰ってきた。

 仕事中とは違う、バンドマンのような格好している。

 いや、もしかしたら、彼にとっては、今も『仕事中』なのかもしれないが……。

「どうした、王子」
と羽積王子に問われ、

「和香にタオルをもらったんだ」
と耀は、ありがたそうにそのタオルを見せた。