不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 


 結局、耀は和香を送ってアパートまで行った。

 羽積王子はまだ帰宅していないようだった。

「ありがとうございます。
 部屋の前まで送っていただいて」
と言う和香は、今日も、上がってお茶でもどうぞ、とは言ってくれそうにもなかった。

 ――俺を警戒しているのか。

 それとも、さっき言ってたみたいに、自分と関わると迷惑がかかると思って、俺を遠ざけようとしているのか。

 そんなことを思いながら、耀は、むき出しの外階段やズラッと並ぶ扉を見回し言った。

「いや、いい。
 アパートには住んだことないから、なんか新鮮だしな」

 その言葉に嘘はなかった。