不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 


「今日も帰るのか」

 そう耀に言われ、本を手に和香は、はい、と言う。

「……たくさん部屋はあるんだ。
 泊まっていってもいいんだぞ。

 何処かをお前の部屋と決めてもいい」
とやさしい耀は言ってくれるが。

「課長に迷惑はかけられませんから」

 そう和香は言った。

 迷惑かけられない、と思うのは、今夜泊まるとか泊まらないとか、それだけの話ではなく。

 もし、自分が専務たちに復讐を果たしてしまったら。

 自分と一緒にいることで、課長の立場も悪くなるだろう。

 そう思うからだ。