不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 


「それでさー。
 和香が王子様みたいに助けてくれたんだよー」

 ロビーで缶コーヒー飲みながら辻井が言うのを和香の同期のみんなが聞いていて。

 そこに羽積と耀も混ざっていた。

「和香は俺の王子様だよー」

 さっと和香が助けてくれたのが、余程魂に響いたらしく、辻井はそう言っている。

「いや、なんで王子……」
と苦笑いした和香が耀をチラと見た。

 こいつの王子はこの課長なのだろうな、と羽積は思ったが。

 その耀はチラと羽積を見た。

 耀の王子は羽積だったからだ。

 王子の連鎖に気づかないまま、それぞれがそれぞれをチラチラ見ていた。