不埒な上司と一夜で恋は生まれません

「そうなんですかー。
 今度、聴きに行きたかったのに。

 羽積さんの歌」

 ……バンドやってるうえに、何故か勝手にボーカルになっている、と思いながらも、

「ありがとうございます。
 また機会がありましたら」
と言って、主婦の人のゴミも一緒に捨ててやり、その場を去った。

 ご近所さんとは仲良くしておかねばな。

 なにかトラブルになったら、仕事に支障が出るから、と羽積は思っていたが。

 主婦の人にモテすぎて、支障が出ることは想定していなかった。

 おのれを過小評価しすぎるという理由により、羽積はこの仕事のプロフェッショナルとなるには、まだまだだった。