不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 和香はまた夜空を見上げたが。

 羽積も中に入らずに、そのまま横に立っている。

「見張ってなくても、今日はもう何処にも行かないですよ。
 それとも、ずっとそうしてないと、上の人に怒られるんですか?」

「……お前を見張れなんて命令は、とっくの昔に終わってる」

 え? と和香は振り向いた。

「まあ、間で様子を見ろとは言われているが」

 ほら、と羽積はビールを投げてきた。

「まあ、呑め」
「ありがとうございます」
と言って二人で街を眺めながら呑む。

 だが、アパートの二階なので、遠くまでは見渡せなかった。