不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 


 耀と別れ、部屋の前まで戻ってきた和香は足を止め、ふと夜空を見上げてみた。

 前のアパートの上ら辺に白く明るい星が見える。

 耀には軽く、
「きっと、お母様のことが好きだからですね」
とまとめた和香だったが。

 内心、いろいろ思うところはあった。

 それで、夜空など眺めながら、ぼんやりしていると、カンカンと階段の音をさせ、エコバッグを手にした羽積が戻ってきた。

 見張り見張られの関係なので。

 ある意味、『自分のことをなんでも知っている、近しい人』のような気もしている。

 それで、『こんばんは』もなく、訊いてみた

「羽積さん、恋って、なんですかね?」

「知るか」

 ……うむ。
 羽積さんらしい答えだ。