不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 まあ、断ったところで、なんだかんだで実験台にされるのだろうが。

 自分がそうだったように……。

 母は和香の後ろに回り込み、その両肩に手を置いた。

「私、ちょっと力が強いのだけれどね。
 ツボにぐっと入ると、痛いというより気持ちいいらしいわ」

「そうなんですか~」
と笑っていた和香の顔が止まった。

 ほんとうに、この母は力が強いのだ。

 というか、ツボに入ったら痛くないのは針治療の話で、指で圧をかける場合は痛いのでは?
と思ってる間も母は言う。

「ね?
 ツボに入ると、そんなに痛くないでしょう?」

「……そうですね」

 和香は母の機嫌を損ねないようにか、我慢してくれているようだった。