不埒な上司と一夜で恋は生まれません

「わざわざすみません、課長」
と和香が苦笑いして言う。

 ほら、と和香に出汁を渡すために近づいたとき、和香のものではないいい香りが仄かにした。

 この匂い、と耀は和香の側にいた羽積を見る。

 この匂い、確かカートを持ち上げて、俺を助けてくれた奴からも香っていた。

 耀は羽積を見つめて問う。

「まさか……

 お前があのときの王子様なのか?」

「……なに言ってんですか、課長」
と和香に言われてしまったが。