不埒な上司と一夜で恋は生まれません

「それでも、その一枚だけ、ずっと残ってるのって、なんか怖くないですか?」

「見つけたときに捨てるか、ウエスにすればいいじゃないか」

「でも、なんか、ちょうどいい吸水具合になってて捨てられないんですよっ」

「……気に入ってるんじゃないか、そのタオル」
と言われ、

「そうか。
 そうなのかもしれないですね」
と和香は頷く。

「でも、あまりにも変色しているので、お客さまがいらっしゃったとき、うっかり出してしまうと恥ずかしいなとは思ってるんですけどね」

 そんな和香の言葉を聞いて、耀は、なにか物言いたげな顔をしたが。

 結局、なにも言わず、

「……じゃ、映画観ながら食べるか」
と言ってきたので、和香は、はいっ、と皿や箸の準備をした。