不埒な上司と一夜で恋は生まれません


 

 徐々に温もりはじめたキッチンで、和香は買ってきた食材を出しながら、今は誰もいないダイニングテーブルを見つめた。

 そこに耀と自分と子どもたちが座ってご飯を食べている幻が見えた。

 ぼんやりしているうちに、ほんとうにすぐに行ってこれたらしい耀が玄関を開ける音がする。

「お前の望むものすべて手に入れてきたぞ」
と何処からか凱旋してきた王子のようなことを言いながら。

 この王子様はテーブルにポン酢と炭酸水を置いた。